2023年12月13日、うるみんにて、沖縄労働局「沖縄早期離職者定着支援事業」を活用し、職員の定着に向けた取り組みに関する研修会を開催しました。

人材定着研修の目的ー

人材定着研修の目的は、職員のモチベーションを向上させ、職場環境を改善することで、コミュニケーションとチームワークが強化され、職員のスキル向上とキャリア成長が促進されます。特に若い世代のニーズを理解することで、職員の長期的な定着を図る目的があります。

今回の人材定着研修は、人事や人・組織開発コンサルティング等を行っている「合同会社Happy Joy 代表社員の幸喜 穂乃氏」を講師にお招きしました。

ー職員定着向上のための戦略と課題ー

職員定着に向けた取り組みについて、人材が定着しない原因には次のようなものが挙げられます。

  • 仕事内容にズレがある (企業が求める業務と職員がやりたい業務にズレが発生している)
  • 労働環境がよくない (「長時間労働が多い」「有給・育休が取りにくい」など、職員にとって働きにくい環境となっている)
  • 人間関係がよくない (社員間のトラブルが多い。問題発生時に相談できる人や場所がない)
  • 評価が適正ではない (自身がおこなった業務に対し、不当な評価を受けている。評価基準がよくわからない)
  • 将来性が感じられない (この職場に長くいることで得られるものが見えず不安を感じる)

人事評価制度の導入や、無期雇用契約への切り替えに伴う難しさの課題も挙げられました。幸喜氏は、職員定着には日頃のコミュニケーション、適切な評価、ワークライフバランスの維持、生産性の向上が重要であると話し、経営者や管理者はこれらのポイントを理解し、持続可能な経営をしていく必要があると話していました。

ー人材育成における課題とは?組織作りの改善方法を考えるー

職場における人材定着に関する課題では、職員が仕事を辞める理由として特に「仕事のやりがい」と「上司や先輩の言動」が挙げられます。
仕事のやりがいが不足していると、自己成長を感じられず、職場を離れるきっかけになることが多く、また、上司や先輩の言動が職員の離職の決め手となることもあります。
職場での存在感や、仕事を通じた社会への貢献感も重要で、これらが高いほど職員の満足度は向上します。成長の機会が感じられることも、職員が職場に留まる動機となります。
人間関係の良好さもまた、職場での継続に大きく影響します。

職務満足度には、給与や労働条件、承認などが関係し、これらが不満足につながる可能性もあります。

職員が職場での成長、承認、貢献を感じることが、長期的な定着にとって非常に重要であると伝え、幸喜氏は「今、皆さんは自分の背中を見せられますか?」と質問し、「研修に参加されている管理者の皆さんは社会に貢献したり、感謝や喜んで頂いたりっていうことがあると思いますが、一緒にそれを目指せるよう、今そのレベルじゃなくても喜んでいただけるよ!みたいなことが何か共に感じられる学校の成長みたいな感じでそういうのもすごく大事」と続け、人材育成の必要性を伝えていました。

また、福祉施設の職員の定年の壁を超えるためには、いかに若年層を取り込んでいくかというところにアンテナをはらなければならず、Z世代と呼ばれる若者の職員定着に着目し、今の若い世代の特徴も把握しておくべきだと話していました。これには、納得する様子の参加者も多かったのではないかと思います。

参加者は自身の施設での取り組みや、今回の研修で学んだことの共有をしました。
共有することでまた学びが増え、いいところは取り入れ、さらに良い環境を作っていくことができると思います。

ー心理的安全性:チームの信頼と成長を支えるキーワードー

「心理的安全性」とは、職場でお互いの意見を自由に表現できる安心感です。
これは、仲良しであることだけではなく、チームメンバーがリスクある意見を共有しても安全であると感じる状況をいいます。
この安全性があれば、チームは問題をより効果的に解決できるようになります。心理的安全性は、仕事の質と人間関係の良さが交わることで、より働きやすく、成長につながる職場環境を作り出すことができます。
幸喜氏は、皆さんの職場の”心理的安全性”はどうか?組織が成功して循環するために、成果を出すためには関係の質を良くした方がいい。
そうするとお互いが尊重し合って、コミュニケーションが増えたり心理的安全性が高まる。と心理的安全性の重要さを伝えていました。

ーチームワークと個人の役割:効果的なチーム構築ー

チームは、ただ集まってるだけではなく、みんなが一緒に動けるように、それぞれが「今、何をすべきか」をすぐに考えられることが大事。職場でのチーム作りは、目標をはっきりさせたり、皆に役割を分かち合ったりすることから始まり、お互いを信じて、心を一つにすることもすごく重要になります。

「グループ」と「チーム」の違いは、グループは人が集まるだけで、目標がないこともあります。でも、チームは、みんなが同じ目的を持って、特定の役割を担いながら一緒に頑張る。
課題を解決できるチーム作りが必要であり、皆が自分の役割をしっかり理解し、それを活かすことが大切です。
役割は、ただの仕事の役職ではなく、チームの中でどう貢献するかということ。自分がどんな役割を持っているのか、それをしっかり伝えて認識してもらうことが、素敵なチームを作る秘訣です。
だから、みんなが自分の役割について考え、自分がチームの中でどんな役割を果たせるかを考えることでもっと強くて素敵なチームができるはず。と役割についての考え方を教えてくれました。

今回の研修は、社会福祉法人の基盤強化を目的とした人材定着についての研修でしたが、どの職場にも当てはまる、仕事をしていく上でとても大切なことであり、これから人材定着力を高めるため、「出来ている部分」「改善すべき部分」を今一度振り返り、より良い環境を作っていくことが大切だと思いました。

幸喜氏は最後に山本五十六の名言を参加者に伝えました。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

この名言は今回の研修の内容、幸喜氏のいいたいことが全て詰まっていると感じ、今後の取り組みもより良いものとなっていくのではと感じました。